ご挨拶
2022年8月期 第2四半期においては、国内外におけるワクチン接種が進む中においても、新型コロナウイルス感染症の影響は根強く続き、収束の兆しも見られておりません。また、世界的な半導体不足のリスクも抱え、先行きは依然として不透明な状況です。
このような経営環境の下、環境関連機器の拡販を目的に休眠客の掘り起こしを推進するとともに、市況が堅調に推移している船舶、プラント機器市場においては、関連機器の製造受託営業に注力してきました。また、2021年9月には海水冷却加温ユニット及びチタン熱交換器を製造販売する株式会社マリンリバーの全株式を取得し連結子会社化することにより事業規模を拡大、収益基盤を底上げしてきました。
全体としては、半導体不足の影響により、取り扱う機器の仕入が遅延し納期が延びるなど受注を十分消化できない状態が続き、当社グループの経営成績に影響しました。
以上の結果、当第2四半期の当社グループの業績につきましては、売上高2,906百万円、営業利益115百万円、経常利益127百万円、当期純利益94百万円となりました。
第3四半期以降につきましても歩みを止めることなく着実に通期業績見通しを達成し、更なる成長を目指してまいります。
株主の皆様におかれましては、変わらぬご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
松村俊宏が新たに代表取締役社長に就任いたしました。
ポエックの持続的成長と企業価値の向上に向けてこれからどんな取り組みを進めていくのか、松村新社長にお聞きします。
-
1952年11月
広島生まれ
-
1976年4月
中国三鉱株式会社に入社
-
1979年4月
交洋工業株式会社に入社
-
1981年7月
ヒサシオキサープラント株式会社に入社
-
1982年11月
山尾産業株式会社に入社
-
2000年11月
ポエック株式会社に入社
-
2001年9月
ポエック株式会社 営業部長に就任
-
2002年10月
ポエック株式会社 取締役営業部長に就任
-
2014年7月
ポエック株式会社 常務取締役営業部長に就任
-
2017年8月
株式会社三和テスコ 監査役に就任
-
2021年11月
ポエック株式会社 代表取締役社長に就任
代表取締役社長松村 俊宏
Q1
これまでの経歴を教えてください。
私はいくつかの商社等で主に水処理機器販売の営業を担当した後、2000年11月にポエックに入社しました。
入社したきっかけの1つは、来山哲二代表取締役会長の人柄です。知人を通して紹介されたのですが、その明るさと、まわりの人間を自然と奮い立たせるような人柄に強く惹かれました。当時のポエックはまだ規模が小さかったのですが、来山が語る夢は非常に大きかった。夢がある会社だな、と思いました。それで、ここで頑張ってみようと決心したんです。
入社後は、大手水処理プラントメーカーの新規開拓に取り組み、各営業所の販売をサポートしながら全国に販路を拡大してきました。その後、2014年に常務取締役営業部長に就任してからは、営業統括を務めました。こうして振り返ってみると、ずっと営業一筋でやってきましたね。
そして、昨年11月に代表取締役社長を拝命しました。当社には来山と采女信二郎取締役相談役という2人の創業者がおり、創業者以外の社長就任は私が初めてということで、その責任の重さに身の引き締まる思いをいたしております。
Q2
新社長として、どのような経営を目指していますか。
まずは、創業者2人が今日まで発展させてきた既存事業を基盤に、それらをしっかりと伸ばしながら、新たな成長戦略の中でイノベーションを伴う新しい製品やサービスを生み出し、社会に送り出していける会社に成長させていきたいと思っています。
経営については来山と私の2人体制で取り組み、来山が主に財務やM&Aを、私が営業とその他の業務を担当し、新規事業や新たな取り組みに関しては2人で進める形をとっています。ただ、いつまでも創業者の力に頼っているわけにもいきません。また、近年は上場企業に対して、経営の透明性や公正さといったものがより強く求められるようになってきています。そこで、当社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上をはかるべく、コーポレート・ガバナンスの充実に力を入れていきたいと考えています。
すでに昨年10月に取締役会の諮問機関として指名報酬委員会を設置しました。本委員会は社外役員が過半数を占めていますので、例えば取締役会の運営について助言をいただくなど役員の暴走を防ぐといった、いわば監督のような役割を果たしていただくことを期待しています。当社は現在東証スタンダード市場に所属していますが、その先の将来も見据え、こうした体制作りを今からしっかりと進めておくことが大事だと思っています。
Q3
松村社長が考える、ポエックの強みとは。
「ポンプの専門家集団」として、あらゆるポンプメーカーの製品を販売しメンテナンスできる高い技術力と豊富な経験を有し、全国的にサービスを展開できる販売網と体制を整備していること。これがポエックの最大の強みであり、揺るぎない基盤です。当社は成長戦略としてM&Aを活用した事業拡大やオンリーワンの製品開発などを掲げて事業を展開していますが、それらはすべて、「ポンプを通じて水と空気という社会インフラを支える」という確固たる基盤があるからこそできるのです。
実は、当社のようにどんなメーカーのポンプでも扱える会社というのは、あまりないんです。製品を販売するだけなら、例えば商社などでは可能かもしれませんが、メンテナンスまで行える会社は少ない。たとえメンテナンスを行っていても、メーカーを数社に限定しているところがほとんどです。だからこそ、あらゆるメーカーに対応し、しかも、北海道から沖縄まで幅広い地域のニーズに対応できることは、当社の大きな強みだと自負しています。
また、特定のメーカーに縛られることがありませんから、お客様のご要望に合わせて品質とコストの両面を満たす最適な製品を、ポンプの専門家集団ならではの目で選び、提案することができます。1つのプラントやビルには、多種多様なポンプが設備として使われています。それぞれのメーカーが違っていても、当社なら一括してメンテナンスすることができますから、お客様にとっては管理に手間がかからないというメリットもあるわけです。こうした総合力も、当社が多くのお客様から選ばれる理由だと考えています。
Q4
これから注力したいことを教えてください。
Q5
仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
私自身が大事だと思っているのは、「創意工夫」です。「創意」は、従来の方法やこれまでの考え方とはまったく違う発想で、新しいことや新しいものを生み出すこと。そして「工夫」は、それを実行するための手段を生み出すことです。DXやIoT、AIといった分野への取り組みが盛んに進められている今の世の中に、この言葉はぴたりと当てはまるのではないでしょうか。当社もこれから新たなイノベーションを創出し、世の中に普及させていきたいと思っています。
また、新しいことをやるためには、「チャレンジ精神」も必要です。
従来のやり方に固執していると、どうしても行き詰まってしまう場合があります。そのまま何もしないでじっとしていれば、会社も、社員もだめになってしまう。しかし、だからといってそこで人と同じことをやっても、やはりだめなのです。どうすれば今までより良くなるのか。効率的になるのか。社会に役立つのか。そういったことを、それぞれの持ち場で考え、実行してみる。要するに「改善」ですね。
これまでとは違うことをやるわけですから、最初からうまくいくとは限りません。もちろん、失敗もあるでしょう。けれども、私は失敗を繰り返さなければ良いものは生み出せないと思っています。だから、失敗してもいい。失敗したら、そこからまたみんなで考えていけばいいんです。まずは試してみること。実行して考える、これが非常に大事だと思っています。
私自身も他人と同じことをするのではなく、どうにかして他人と違うことができないかと情報を集め、自分なりに組み立て、考え、試してきました。失敗を恐れない組織風土を醸成し、社員が臆することなくどんどんチャレンジしていけるような環境を作っていきたいですね。
Q6
株主の皆様へのメッセージをお願いいたします。
現状の株価が皆様のご期待に十分応えられていない点につきましては、深くお詫び申し上げます。
当社は今後更にグループの総合力を集結し、新たなイノベーションを創出することで成長を続け、企業価値の向上に向けて一層の努力を重ねてまいります。株主・投資家をはじめステークホルダーの皆様に貢献できるよう、役員、社員一丸となって邁進してまいります。
今後とも変わらぬご支援・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
「ポンプの専門家集団」からスタートし、
現在の「環境・エネルギー事業」「動力・重機等事業」「防災・安全事業」を支えるグループ会社を紹介いたします。
今回は2003年にポエックグループのメンバーとなった三和テスコです。
三和テスコはどのような会社なのか、役割や特徴について村本代表取締役専務にお話を伺いました。
三和テスコってどんな会社?
一癖ある製品専門のメーカー
三和テスコは創業100年を超える歴史のある会社で、一癖も二癖もある製品を専門で作る会社です。何が一癖かというと、非常に大きい、重たい、高温、高圧といったキーワードの製品を多く作っています。これらは事故が起きれば大事故につながるような製品であり、また、10年、20年と長く使い続けることを要求される製品で、高い安全性と耐久性を追求しながら、一品一葉で作り続けています。
例えば、当社製品の1つにエンジンベッドという船のエンジンの一番底になる部分があります。この製品は仕様や性能、強度の底上げなど様々な変更をしながら60年ほど作り続けています。非常に頑丈なので長く使うことができるという点を評価していただき、上場企業をはじめとするお得意様とは長くお付き合いをしています。
三和テスコのオンリーワン
高い溶接技術と蓄積されたワークデータ
多くの企業様と長くお付き合いさせていただいている根底には、当社の溶接技術があります。溶接とは簡単に言えば金属を溶かしてくっつけるわけですが、当社の強みとして、まず1つは厚みのある素材を溶接する技術です。大きく、重たいものは当然分厚いので溶接にも高い技術が必要です。1回で溶接できる厚さは3~4ミリ程度なので、例えば板厚60ミリの鉄板の場合20回溶接を繰り返すことになります。中身がちゃんと溶接されているかを外側から確認する非破壊検査という検査を行いますが、検査にはコストがかかる為、1回の溶接毎に検査をするわけにはいかず、全ての溶接を終えてから検査します。厚いものを無欠陥で溶接する技術というのは非常にレベルの高いものですので、当社だからこそできる技術です。
そしてもう1つは様々な材質の溶接技術です。金属の中にも鉄やステンレス、チタン、銅など多くの種類があります。当社は様々な材質の金属の溶接を何十年も行ってきており、経験を積み上げてきていますので、扱える材質の種類や板厚の種類など、膨大なデータを蓄積しており、提供できる技術のバリエーションを広げています。
ポエックグループの一員として
経営難を経て次のステップへ
約20年前にポエックグループに入りましたが、当初は経営難の状態でした。ポエックの子会社として再スタートを切り初年度から黒字を出せる体制になったのは当時持っていた多くの問題、いわゆる会社の膿をポエックグループに入るタイミングでしっかり出すことができたからですね。また、来山会長の前向きな性格もあって、1年、2年と経つにつれ会社全体が前向きな雰囲気へと変わっていったと感じています。現場の働いている人たちも「会社は変わり、確実に伸びている」と実感することができ、「それならもっと頑張ろう」という意識が芽生え、2年ほどでみんな明るくなっていきました。
また、採用の面でも、ポエックグループの一員であることで恩恵を受けています。地元採用が多いので、やはり親会社の信頼性は重要なポイントです。現在当社は構内外注を含めると100人ほどが在籍していますが、グループ入り当時の従業員数は45人ほどで、当時を知るメンバーも35人ほど。今でもベテランとして残っています。従業員の9割以上は男性ですが、現在女性社員も6名いて、そのうち1名は現場で活躍しています。今後は将来のための人材を増やしていきたいですね。
これからの三和テスコ
高い技術と長年のノウハウでメーカーとして新しい分野に挑戦
三和テスコはポエックグループの技術拠点という役割も担っています。
当社がメーカーとして製造を行っている主力商品は3つあります。まず1つ目が消火設備『ナイアス』の設計・製造。2つ目が高圧用の特殊な熱交換器『プレート&シェル熱交換器』の日本国内での設計・製造。そして3つ目が石油精製プラントで使用され、遠心力で液体中の固形物を取り除く『コークセパレーター』という装置の製造です。
これらは年によって売上にばらつきはありますが、多い年で売上全体の3割近くを占めたこともあります。単なる下請けではなく、多少のリスクを取ってでも、メーカーとして最終商品を世に送り出し、確固たる地位を築いていきたいと考えています。